皆さん、100円ショップは普段利用しますか?
最近は安いのに高クオリティの商品がたくさんあり非常に便利ですよね。
でもこんなに安くてなぜやっていけるのか疑問に思ったことはないでしょうか。
例えば、1日1000個売ったとしても100円×1000個なので売上は10万円です。
売上が10万ですから、そこから原価や人件費、家賃、光熱費等を引いて…
店舗で働いている人以外にも人事部や総務部だっているだろうし…
って考えると「あれ?儲けあるのか?」と不思議に思いませんか?
僕の知的好奇心がくすぐられたので調べてみることにしました。
実際にはどれくらいの数が1日で売れて、どれくらいの経費がかかっているのか。
100円でもやっていけるのはなぜなのか。
これらの謎を解明していきます!
ぜひ最後までお読みください。
1日の売上はどのくらい?
大手100円ショップを例にして調べていきたいと思います。
大手と言えば、ダイソーやSeria、Can doが思い浮かびます。
ただ、ダイソーに関しては上場しておらず、情報公開には限りがあるということでここではCan doとSeriaの2社を例に調べていきます。
Can doの場合(店舗数:1057店)
参照:https://www.cando-web.co.jp/corporate/
まずは決算数値を見てみましょう。
2019年12月1日~2020年11月30日の決算です。
売上 | 730億 |
営業利益 | 15.6億 |
純利益 | 4.4億 |
売上が730億で店舗数が1057店ですから…1店舗あたり年間約7千万の売上があるということになります。
また、1年は365日&1商品100円であるので…1日に約1918個売っていることになりますね。
なので1店舗あたりの1日の売上は約20万程度といったところでしょうか。
1つのお店で1日に2000個の商品をレジでピッピしてると考えると思ったより多いですね。
もちろんお店の規模によって増減はありますが、平均するとCan doの場合、1日2000個の売上20万という結果になりました。
また、営業利益15.6億円についても考えてみたいと思います。
営業利益とは、売上から売上原価(商品を仕入れた費用)と販管費(人件費など営業活動に関する費用)を引いた数値です。
売上のように1日あたりで考えてみると、1店舗4043円。
うーん。
結構少ないですね。
19万6千円は必要経費で消えていることになります。
では、同じく純利益でも見てみましょう。
純利益は税金なども全て支払い、本当に最終的に手元に残る費用のことです。
純利益は1日1店舗あたり約1140円。
他の業界がどうなのかはわかりかねますが、素人目線少ない気がします。
ただ、きちんと人件費も払い家賃や光熱費も払っても赤字にはなっていないことがわかりました。
そして、Can do のように大手となると店舗数も多く、全体で億単位の純利益が残せているようです。
1日あたりで考えるのは正直正しいとは思えませんが、僕の知りたかったことなのでよしとします。笑
まとめると、
- 1店舗あたりの年間売上:約7千万円
- 1店舗あたりの1日の売上:約20万円
- 1店舗あたりの1日の販売個数:約2000個
- 1店舗あたりの1日の営業利益:約4千円
- 1店舗あたりの1日の純利益:約千円
となります。
※ここでは1点300円や500円の商品は考えず、全て100円と過程して販売個数を算出しています。(Seriaも同様)
出店:Can do決算短信
Seriaの場合(店舗数:1679店)
参照:https://www.seria-group.com/corporate/
Can doと同じくまずは決算数値から見ていきましょう。
2020年4月1日~2021年3月31日の決算です。
売上 | 2006.8億 |
営業利益 | 212.7億 |
純利益 | 147.2億 |
Can doと同じ考えで計算すると、Seriaの場合、1店舗あたり、
- 1店舗あたりの年間売上:約1.2億円
- 1店舗あたりの1日の売上:約33万円
- 1店舗あたりの1日の販売個数:約3275個
- 1店舗あたりの1日の営業利益:約3万5千円
- 1店舗あたりの1日の純利益:約2万4千円
ということになりました。
Seriaも赤字ではなく、しっかりと黒字経営です。
Can doに比べると1店舗あたりの数値が全体的大きいですね。
なぜCan doよりも1店舗あたりが多いのかは、記事の本題から外れて長引きそうなのでやめておきます…
出店:Seria決算短信
100円の商品を売ってどうやって儲けているの?
では、100円という他の業界と比べ少額の商品を売って、どうやって利益を上げているのでしょうか。
コストを抑えながらたくさん売る。
これをどうやって実現しているのか調べていきたいと思います。
考えられる理由は3つ
- 粗利率が高い
- 人件費の削減
- 宣伝広告費の削減
です。
それぞれ詳しく解説していきます。
粗利率が高い
理由その1は「粗利率が高い」です。
粗利(粗利益)とは売上総利益とも呼ばれ、売上-売上原価(仕入れた値段)で求められます。
例えば、100円で商品を仕入れて150円で売った場合、粗利益は50円です。
粗利率は単純にこの割合のことを指し、高ければ高いほどたくさんの利益を乗っけて売ったことになります。
100円ショップでは全ての商品が同じ粗利率になっているわけではなく、商品によって差があります。
全体的に見ると粗利率が高くなっているようです。
その理由としては3つ考えられます。
- 海外での大量生産
- 大量仕入れ
- 流通コストが安い
これらも詳しく説明いたします。
海外での大量生産
まずはよく聞く海外での大量生産です。
世界には日本よりも人件費が圧倒的に安い国が多くあり、そこで大量に生産することで商品1つあたりのコストを安くしています。
100円ショップでも安く生産された商品を仕入れ、コストを抑えています。
大量仕入れ
次に大量仕入れです。
大量生産したものを大量に仕入れることでさらにコストを抑えています。
「商品Aを1つだけください!そんでもってもっと安くしてください!」と言っても中々安くしてもらえません。
そこで「商品Aを1万個買うので安くしてください!安くしてくれないなら違うところで買います!」と仕入れ数を増やすことで仕入れ値を安くできます。
(実際に「安くしてくれないなら違うところで買います!」なんて言ってるかはわかりませんが、イメージです笑)
これでまた少し粗利率を高めることができました。
流通コストが安い
3つ目は流通コストが安いことが挙げられます。
小売業は「卸売業社」を仲介するのがほとんどです。
メーカー→卸売業社→小売店→消費者が基本です。
そのため、メーカーで100円のものを生産した場合、そこに利益を乗せて120円で販売します。
それを仕入れる卸売業社がさらに利益を載せて150円で販売。
小売店がさらに利益を乗せるため、消費者にはさらに高い180円で届きます。
中には卸売業社を複数経由することもあり、当然その場合はさらに消費者に届く値段が高くなってしまいます。
しかし、Seriaなどの100円ショップでは工場から直接仕入れることで流通コストが削減されています。
卸売業社に支払うコストがなくなるため、少し粗利率を高めても消費者には安く届けられるというわけです。
人件費の削減
店舗に配置する社員の少なさ
100円ショップは通常の小売店よりも社員数を少なくすることができます。
薬局や家電量販店には専門的な知識を持った社員の配置が必要になりますが、100円ショップにはその必要はありません。
どの店舗にも社員の配置はしていると思いますが、他の業界に比べて社員の比率は低く、アルバイトの方の割合が多くなっています。
そのため人件費の削減に繋がっています。
手間の少ない作業
100円ショップの商品の値段には変動がありません。
そのため、ラベルを貼る人件費を必要としないのです。
例えば、スーパーであれば、商品1つ1つに値段がついてますので、値札を印刷してつけていかなければなりません。
また、タイムセールや夕方以降の値引きなど商品によって価格変動するものがあります。
そのため、毎度値札を付けたり「〇〇%引」のラベルを貼るための人員を要します。
比べて100円ショップには必要のない業務です。
お客さんは来店前から100円であることを認識していますし、100円以上のものにはあらかじめタグ等がついていますのでわざわざラベルを貼る必要もありません。
このようにスーパーなどの小売店に比べて人件費を抑えることができます。
宣伝広告費の削減
100円ショップは広告費にほとんど費用を費やしません。
テレビCMなんかは見たことないんじゃないかなーと思います。
ただ、100円ショップのいいところは宣伝しなくても宣伝してもらえるところにあります。
どういうことかというと、お昼の情報番組が定期的に取り上げてくれるのです。
お昼の情報番組と言えばターゲットは主婦層。
主婦層に刺さる特集を考えた時に、安く便利なものが手に入る100円ショップは最適なのです。
そのため、宣伝広告費にお金をかけなくてもお昼の情報番組で周知することができるというなんとも素晴らしいシステムになっています。
このおかげで、大量に安く仕入れた商品が大量に売れていくというわけです。
まとめ:100円ショップはきちんと儲かっている
いかがでしたでしょうか。
どうやって利益を上げているのか意味の分からない100円ショップでしたが、きちんと黒字経営で営業できるシステムがあることがわかりました。
儲けの仕組みとしては、
- 粗利率が高い
- 人件費の削減
- 宣伝広告費の削減
が主に考えられます。
他にも理由が見つかれば、随時追記していこうと思います、
ということで、今回は100円ショップのビジネスモデルについてお話していきました。
他にも僕のブログでは、いろんな内容の記事について書いていますのでぜひ他の記事もチェックしてみてください。